課題の設定からプロトタイプ、実装、そして勉強会カルチャーの醸成まで。データからパターンを抽出する機械学習と、現場を歩くフィールドワークを組み合わせ、お客様のチームに並走します。ここでは、実際のプロジェクトの記録をご紹介します。
プロジェクトがどのように始まり、何を開発し、現在どう続いているか。その記録をご紹介します。多くの事例は、コミュニティへの参加やご紹介といった出会いから始まりました。
船舶から届く定時通信の運転データを機械学習で分析して異常の予兆を検知し、長年の運用で蓄積された異常予兆のナレッジを知識グラフとして構造化。LLMと組み合わせて、予兆の検知から異常要因の洗い出しまでをつなぎます。初年度のプロトタイプ開発を経て、本年度より実環境での実証実験を進めています。
阪神内燃機工業様は、長年の高度船舶安全管理システムの運用を通じて、異常予兆のナレッジと運転データを蓄積されてきました。船舶の自動運航が進む未来に向けて、従来のエキスパートシステムをさらに更新すること。そして、長年の熟練人材の暗黙知や現場知を次世代へ引き継ぐ仕組みをつくること。この二つを、実データで検証を重ねながら形にしたい——そこから、共同開発が始まりました。
従来の監視では捉えにくかった変化の兆候を、早期に把握したい。同時に、異常が検知されたあとの「なぜか」「何を確認すべきか」は熟練者の頭の中にあり、熟練者でなければ判断が難しい。検知の精度と、判断知識の継承——二つの課題を、一つの仕組みで扱う必要がありました。
運転データは、センサーのパターン解析に加え、センサーどうしの関係性や波形を分析する機械学習の手法で、異常の予兆を検知します。一方、蓄積された異常予兆のナレッジは、誰でも利用できる形の知識グラフとして構造化。検知結果を入力に、知識グラフとLLMを組み合わせて異常要因を洗い出します。さらに、運用の中で得られる新たな知見を知識グラフに継続的に取り込み、改善していくAIの開発にも取り組んでいます。
初年度は、過去のデータをもとに何がAIで実現できるかを、プロトタイプの開発を通じて検証しました。想定を超えるセンサー数や、時系列データ特有の難しさ——取り組みの中で見えてきた課題に、両社で向き合いながら進めています。本年度は実環境での実証実験を通じて、検知精度の検証と品質の向上、知識グラフを改善するAIの開発に取り組んでおり、将来的には複数隻への展開も視野に入れています。
医療法人 神甲会 隈病院 様
採血は、病院経営において最もリスクの大きい業務のひとつです。そのリスクをAIの活用で減らせないか——というところから、プロジェクトは始まりました。
弊社が運営する機械学習コミュニティに、病院の職員の方が参加してくださっていました。以前取り組まれていた大手AIベンダーとのプロジェクトが途中で終了してしまったことを受け、弊社にお声がけいただいたのがきっかけです。
患者ごとの採血難易度を刺し直し回数だけで判定すると、業務に慣れていない新人看護師を担当した患者が「難しい」と評価されてしまう。一方で、難しい患者を担当することの多いベテランスタッフほど低く評価されてしまう。単純な集計では、こうした逆転が起きていました。
関連事例の調査の中で、野球のピッチャーとバッターのスキル評価に関する論文を発見しました。「投手と打者」の関係は「看護師と患者」に置き換えられるのではないか。この仮説をもとに、看護師のスキルと患者の難易度を、相互の影響を分離して推定する指標を開発しました。
経験則で行われていた採血の割り当てに代わり、この指標が現場に導入されました。それまで年に1回程度発生していた採血時合併症への対応はゼロとなり、数年経過した現在も継続しています。新人スタッフが段階を踏んでスキルアップできるようになるという、当初想定していなかった効果も現場から報告されています。
株式会社フェリシモ 様
「神戸にAIをやっている面白い会社がある」。金融機関様からのご紹介が、このプロジェクトの入り口でした。
最初からゴールを定めず、IT部門の皆様と弊社の共創開発拠点DEP.に集まり、平日の夜に軽食とお酒を囲んで業務のお話を伺うことから始めました。物流倉庫の見学も重ねながら「どの領域で一緒に取り組めるか」を検討し、在庫移動の効率化をテーマに定めました。
弊社からお願いし、実際に倉庫での在庫作業を体験させていただきました。あわせて過去データから商品の移動を追跡し、無駄な部分を特定・可視化。現場作業に、お客様が思っている以上の労力と時間が費やされていることが明らかになりました。
従来のルールベースの取り決めに代えて、数万点の商品それぞれについて「向こう1ヶ月間の受注確率」を予測するモデルを開発。その確率を加味した在庫移動リストを、日々生成する方式としました。
機械学習シミュレーションでは、在庫移動の無駄を大幅に削減できることが示唆されました。現在は、過去データから自動で傾向を学習し、日々の在庫移動推奨リストを生成するシステムが稼働しています(テスト評価中)。
大学の研究室、製造、研究開発、自治体の人材育成まで。7社・7名のインタビューを掲載しています。