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数学と機械学習コミュニティを運営する開発会社が考える現在と未来の開発のあり方 1/3

 
作成日:2022/9/1
作成者: Kitamura Tomokazu
 
 
 
はじめに
これから3回に分けて、よく質問されるので、スクラムサイン が運営している技術コミュニティのこと、運営の中で大切にしていること、また技術コミュニティを大切にした会社のあり方や、ビジネスとして提供できる価値などを整理しお伝えできればと思います。
 
現在にいたった経緯
まずは現在に至った流れから、私の個人的なキャリアからお話させていただこうと思います。私の前職はホテルのオンライン予約サイトである「ベストリザーブ」(*3) を運営する会社に勤めていました。当時、ベストリザーブの社長だった小野田 純さんは非常に先見の明のある方で、日立造船コンピュータに在籍されていた1996年に日本で先駆けて「ホテルの窓口」というインターネットホテル予約サイトを立ち上げた後、2000年にファンドから出資を受け、スピンアウトし、「ベストリザーブ」 というホテル予約サイトを立ち上げた方でした。のちに「ホテルの窓口」は「旅の窓口」(*4)となり、2000年に楽天に売却されて今は「楽天トラベル」に統合されています。私はなぜか小野田さんと入社面談時から話がはずみ、トップの方と近い距離で仕事ができて勉強になりそうというのが一番の入社した理由でした。会社は、しばらくして日本で先駆けて事業化していた「モノリス」という 宿泊予約サイトの横断検索事業をピボットし、収集したデータを活用して、宿泊施設向けにインターネット予約サイトでの近隣施設の価格と在庫情報を提供するサービスを立ち上げようと模索していた最中でした。
ある時、幹部会議に私が呼ばれて、小野田さんから「北村、この事業どう思うか?」とうまくいきそうかどうか問われ、私は「ダイナミックプライシング はこれからの時代の流れなので、売れると思います。」と答えたのですが、しばらくして事業の立ち上げを任されるようになったのが、そもそものきっかけになります。あとで小野田さんが話してくれたのですが、この時の会議で小野田さん以外の全ての幹部が、このようなサービスは売れるとは思わないと答えていたそうです。小野田さんは、公私ともにお世話になりました。お昼の休憩の時間を使って真空管アンプや自作のスピーカー作りについて教わりながら、私も影響されて自作のスピーカーや真空管アンプを作ったりしました。よくパイプタバコを美味しそうに吸いながら、ポツリポツリと「ホテルの窓口」を立ち上げた当時の話や新規事業をどのようにつくっていくかなど大切なことを教えてもらいました。小野田さんは株主がかわってしばらくして、代表をおりる形になりましたが、このときに新規事業についての考え方を教わったことが今に役立っており、ありがたかったなと思っています。
データのもつ可能性
さて、その当時進めていたベストリザーブの新規事業の話を少しさせていただきます。
新規事業として始めたサービスは、日本全国のホテルの料金と在庫をシステムで収集して整理し、ウェブアプリケーションとしてホテルの方に利用していただくものでした。
今でこそ、料金を動的に変化させるダイナミックプライシング は比較的一般的になりましたが、サービスを始めた2008年当時はまだホテルでも導入しているところは外資系やチェーンホテルなどの一部でした。私にインパクトを与えたのが、実際にサービスのユーザーであるホテルの若いご担当の方が近隣の価格と在庫動向を私たちのサービスを利用して、独自に変化のパターンを発見し、パターンに応じて機動的に価格を変化させることで、前年と比べて30%程度売上を上げたというお話を聞いて、データのもつ力に改めて気づかされました。同じデータを提供しているのですが、その分析力により成果がはっきりとちがってくるというのも面白いと感じました。
そのことをきっかけに、どのような機能を追加すればクライアントが喜んでもらえるか、寝てもさめてもサービスのことを考えるようになっていました。
その後、私はこの事業の事業部長を任されるようになり、会社の収益の柱の事業に成長させることができました。
起業し会社を設立したのは2016年です。まかされていた事業が軌道に乗り私が関わらなくても、ある程度成長できると思えるようになっていたのと本社が東京に移転することがきっかけでしたが、自分で会社を起業して、納得するまでクライアントと話し合いながら、データ分析のシステムを開発してみたいと思ったことがきっかけでした。
技術コミュニティ
当初は親しくさせていただいたホテルと旅館の方にデータ分析の業務、特にダイナミックプライシングを組織で行うための運用コンサルティングとそのためのシステム開発を行なっていましたが、その後、AI・ 機械学習関連のソフトウェア開発にシフトしていくことになります。いまでは宿泊関連だけでなく、医療関係、通信系の企業、国の研究機関などお付き合いの幅が広がっていますが、そのような展開となったのは、技術コミュニティで出会った方のご縁がつながった形でした。
読者の方には技術コミュニティといっても実際に参加されたことがない方はピンとこない方もいらっしゃるので、話を進める前に少し説明したいと思います。
コミュニティとは受取られる人によって印象が違う曖昧な言葉ですが、本稿でいうコミュニティとは主に、所属の垣根をこえてエンジニアや研究者が同じ興味関心から、それぞれの知見を学ぶために自主的に集う技術者コミュニティを指します。そういったコミュニティは「勉強会」と呼ばれていたりもします。
私が初めて「勉強会」に参加した時、初対面の方ばかりで、場違いな気がして非常に緊張したのを覚えています。
今でこそデータ分析者を対象とするRやPythonの書籍は書店にいけば、たくさんありますが、当時はコミュニティの情報交換が貴重な情報源でした。
今はコロナの影響で難しいですが、勉強会が終わった後はたいてい希望者で懇親会があり、そういった場で近くの席の方に、おそるおそる話しかけてみると、意外と気さくな方が多く、普段ではあまり話せないような技術的な話題も、気兼ねなく思いっきり話をすることができ、時間を忘れてよく話をしました。技術者であれば、オープンソースを普段から誰もが利用しているからか、技術について教え合う雰囲気があり、とても感動したことを覚えています。
勉強会にも様々な形式あるので、表にまとめてみました。
形態
概要
動作するプログラムが用意され、コードを動かしながら学ぶ形式のもの。
場所を共有し、それぞれ別の作業を行うもの。自己紹介があったり希望者はその時間での成果をシェアする場合もある。
主催者がテキストを決めて、参加者で読み進める形式のものがある。大学の研究室などでも、よく行われている。
5分程度の短い時間でスライドをつくり発表する形式。
講師役の人が資料を作成し、授業を行う形式
有識者が、テーマを設けて話し合い、参加者がその話を聞く形式
有名な方を招いて話をきく形式。
サービスの利用者がつどって知見を共有する。
(表 勉強会の分類)
エンジニアの方は、ぜひIT勉強会に参加されることをおすすめします。いくつか参加するうちに、きっと自分にあう勉強会が見つかると思います。また参加するだけでなく発表したり知見を共有することで、より理解が深まりますので積極的に発表してみてください。参加の際は、募集サイト(*5)から気軽に申し込めるようになっています。
次回はどのようにコミュニティに積極的にかかわるようになったか、私たちが運営しているコミュニティのこと、運営の中で大切にしていることなどをお話できればと思います。
 
(*1)株式会社スクラムサイン
(*2) Math & Coding
(*3)ベストリザーブ
(*4) 旅の窓口
(*5)募集サイト
IT勉強会ですと下記のサイトがおすすめです。
connpassエンジニアをつなぐIT勉強会支援プラットフォーム (https://connpass.com/)
Doorkeeper: セミナー・勉強会・イベント管理ツール(https://www.doorkeeper.jp/)
 
 
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