0. 導入
ガウス過程とは、平均関数 と共分散関数 によって定義される確率過程で、あらゆる 個の入力点 の関数 による出力値 の分布が、平均 と を要素とする分散共分散行列 の多次元ガウス分布に従うものというふうに定義されます。
直感的な説明としては、「サイコロ」を振ると 1 ~ 6 の自然数が出てくる箱と表現されるのに対して、「ガウス過程」は振ると関数 が出てくる箱のようなものだと言われます。
このガウス過程を、分析したいデータの背後にある構造だと仮定して行う回帰の手法がガウス過程回帰です。
ガウス過程回帰の魅力は様々ですが、非線形な関係性をモデル化できる、つまりモデルとしての表現能力がとても高いことや、予測値に対しての自信の度合いを出力できることなどが挙げられます。
対して、計算量がデータ点数の3乗に比例するために、データ点数が大きくなると現実的な時間内で計算を終えるのが難しくなるといった問題もあります。
このガウス過程回帰の最大の問題点である多大な計算コストに対応するための手段の1つとして、スパース近似(補助変数法)などが提案されてきました。
この記事は、直感的にわかりやすい説明というよりは、「ガウス過程と機械学習(講談社)」を読んでいて私が躓いた箇所、式変形や論理展開などを補足する形で書いたものです。
以下を導出することをこの記事のゴールとします。
- スパースガウス過程回帰モデルの対数周辺尤度の変分下界(ELBO)